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当座貸越はどのような場合に一時中止の扱いを受けるのか

当座貸越が一時中止される事由と、一時中止が解除される事由について知りたい。

貸越の一時中止とは、債務者・担保等に与信取引を継続しがたいなんらかの事由が発生した場合に、当座貸越契約の解約や終了をさせずに、一時的に当座貸越取引を中止し、新たな貸越の申出に応じない場合のことをいう。

信用保証協会からの一時中止の申出等を受けた場合
債務者等に与信取引を継続しがたい以下に掲げる一定事由が発生した場合は、当座貸越取引(新たな与信)を一時中止し、債務者等の信用状況を把握し、取引を継続すべきかどうかを信用保証協会と協議することになる。なお、貸越の一時中止事由が解消したときは、信用保証協会との協議により、再び当座貸越取引が可能となる。

(1)一時中止事由
①信用保証協会が一時中止を申入れた場合
以下の②から④の他に、与信取引を継続しがたい事由が起こった場合に、信用保証協会から貸越の一時中止の申出ができることとなっている。この申出があった場合、金融機関は当座貸越に応じてはならないこととなる。

②被保証人に対する債権について、延滞もしくは事故報告書の提出事由が生じた場合
当座貸越のみならず、被保証人に対する債権について、延滞報告や事故報告書の提出事由が生じ、かかる事態の発生を金融機関が認識した場合は、その後の貸越の申出に応ずることなく、一時的に貸越中止の状態にしておかなければならない。

③金融機関が差し入れを受けた保証条件担保について、根抵当権の確定事由が生じた場合

④保証条件とした根保証人について、根保証の確定事由が生じたことが判明した場合

なお、③④の場合、保全状況に問題を抱えている状況のため、金融機関は貸越を一時中止しなければならない。

(2)一時中止の解除
貸越を一時中止した状態で、当座貸越の根保証取引を確定させるか、あるいは一時中止を解除するかを、信用保証協会と金融機関は協議することとなる。協議の結果、取引の継続が困難との結論に達した場合は、当座貸越根保証の確定事由へと発展することとなる。また、貸越の一時中止事由が、特に債務者や保証人、担保等に影響ないと協議の結果判断された場合は、一時中止は解除され、当該当座貸越取引は再開されることとなる。

当座貸越の申込人の資格要件および取扱要件とはなにか

当座貸越の申込人の資格要件および取扱要件はなにか。

信用保証協会において定める一般の資格要件および取扱要件の他に「当座貸越根保証制度要綱上に定める一定の要件が定められている。

資金使途の確認の免除
当座貸越根保証における申込人の資格要件および取扱要件は以下のとおり。

(1)申込人の資格要件
①同一事業の業歴が3年以上で、2期以上の確定申告または決算を 行っている

②申込金融機関との与信取引が6ヵ月以上ある

③個人事業者の場合は次のア.~エ.のいずれかに、法人の場合は次のア.イ.のいずれかに該当すること

ア.保証申込直前期の決算における中小企業信用リスク情報データベース(CRD)を活用した信用保証協会によるスコアリングが、本制度事務取扱要領に定める基準以上であること

イ.信用保証協会と金融機関との合意に基づく金融機関の信用スコアリング(信用格付)が前記ア.CRD基準と同等以上であること

ウ.確定申告が青色申告であり、保証申込直前期の決算において申告所得300万円以上を計上し、かつ自己名義の不動産(自宅・店舗等)を所有すること

エ.確定申告が青色申告であり、保証申込直前期の決算において申告所得100万円以上を計上し、不動産等物的担保の提供があること

(2)取扱要件
①資金使途
当座貸越の資金使途は中小企業者の事業資金に限られるが、信用保証申込書上に「本件借入に伴う資金は今回申込みに係る事業以外の目的で使用いたしません」と宣誓されていることから、金融機関は貸越の都度、事業資金に使用されているかを確認する必要はない。

②金利
貸越金利については、金融機関で定める料率となる。なお、信用保証協会の保証付であることを考慮して、その利率の引下げには極力努力することが要請されている。一般的には、長・短のプライムレートが基準となっている。

③貸越の方法
個々の貸越の方法は、取扱金融機関所定の借入請求書、借入専用小切手またはエレクトロニック・バンキング・システム等によることとなっている。なお、貸越の仕組は大別すると2つの形態に区分することができる。1つは、借入は借入専用口座を用いて個々の貸越を行うが、その返済は別口口座を用いて行うものである。したがってこの場合、借入専用口座の当座勘定は随時返済などの特別な事由が生じない限り常にマイナスかゼロということになる。

もう1つめ方法は、借入と返済が1つの借入専用の当座勘定口座を用いて行われるものである。この場合には他の当座取引ができないような措置を講じる必要がある(借入専用小切手のみ支払うとととし、他に振出した手形・小切手等の決済手段として使用しない等の特約)。また、この形式の場合の多くは、利息等の支払方法が当該貸越口座からの自動引落しとして、貸越元本への自動組入れとする取扱いが一般的であるが、この場合にあっては、例外的に、元帳等で元本に自動繰入されたものが利息分であることが確認できればよい。

④弁済方法
当座貸越から生じた債務の弁済方法には、当座貸越約定締結に際し、あらかじめその弁済方法を定めておく方法となんらの定めをしない方法(返済方法が随時であるという定め(随時弁済方式))がある。

前者にあっては、例えば借入残高の60分の1を毎月返済あるいは、毎月一定金額を返済(均等定額方式)するなどの方法が考えられる。なお、これらの返済方法に関して、60分の1を40分の1にする等の弁済方法の変更は、取扱期間(発生期間)中にあっては保証条件の変更対象事項とはしない取扱いとなっている。また、いわゆる随時弁済方式にあっては、当座貸越契約の最終期限に期日一括返済(期中においてまったく返済の必要がなく、返済はすべて最終期日一括返済でよいとの合意のあるもの)されるような運用が行われないよう留意する必要がある。

当座貸越根保証とは

当座貸越根保証とはどういうものか。

当座貸越根保証は、一定の資格要件を備えた中小企業者の事業資金を当座貸越の方法で、あらかじめ定めた貸越極度額の範囲内で反復継続的に利用できる保証制度である。

事前に貸越極度額と取扱期間を設定
当座貸越(貸付専用型)根保証とは、中小企業者の事業資金の借入を目的とした当座貸越について、あらかじめ一定の貸越極度額と取扱期間を定め、保証期間を取扱期間として、保証期間内に反復継続して発生する当座貸越債務の保証をいう。

当座貸越の申込人と取扱金融機関は、借入請求書、借入専用小切手またはエレクトロニック・バンキング・システム等による借入を内容とした当座貸越契約書等を締結する必要がある。また、本制度の取扱いができる金融機関は、信用保証協会と約定書が締結済であることが前提であるのは言うまでもない。当座貸越根保証は利便性の高い保証制度であるが、その利用にあたっては、資金の必要性、事業規模等に照らし的確適正な極度額の設定が求められる。

代位弁済請求手続はどのように行うか

特定社債保証制度における代位弁済請求手続はどのようにすればよいか。 

所定の保証債務履行請求書に社債権を証する書面を添付して行う。代位弁済日は、保証債務履行事務代理人が保証債務履行請求書を受領した日により異なる。保証債務の履行が完了したときは、保証債務履行事務代理人は信用保証協会に対して保証債務履行完了報告を送付する。

所定の保証債務履行請求書に社債権を証する書面を添付

(1)保証債務履行請求書の提出
償還期限到来または期限の利益喪失後もなお償還されないときは、社債権者は保証債務履行請求手続を行う。保証債務履行請求をしようとする社債権者は、保証債務履行事務代理人に対し、当該社債権者の直近上位の口座管理機関が発行する社債権を証する書面を添付して所定の保証債務履行請求書を提出しなければならない。保証債務履行事務代理人は、共同保証人たる金融機関が兼務することとなっている。保証債務履行事務代理人が保証債務履行請求書を受領したときは、その翌営業日までに信用保証協会に通知するとともに、当該保証債務履行請求書を回付しなければならない。

(2)保証債務の履行
保証債務履行日は以下のとおり定められている。

①保証債務履行事務代理人が保証債務履行請求書を期限の利益喪失日から10日以内に受領した場合、期限の利益喪失日より40日目(金融機関の休業日のときは前営業日)

②保証債務履行事務代理人が保証債務履行請求書を期限の利益喪失日から10日を超えて受領した場合、保証債務履行請求書の受領日より30日目(金融機関の休業日のときは前営業日)保証債務履行の手順としては、まず信用保証協会が保証債務履行事務代理人に対して自己の保証割合に相当する保証債務履行金を支払う。保証債務履行事務代理人はその入金確認後、共同保証人としての保証債務履行金と併せて社債権者に送金する。

(3)保証債務履行完了報告
保証債務履行事務が完了したときは、保証債務履行事務代理人は保証債務履行金の領収書および社債権を証する書面を添えて、信用保証協会に対して所定の様式により保証債務履行金の支払を完了した旨を通知しなければならない。

制度取扱上の留意点はどのようなことか

特定社債保証制度の取扱いにあたっては、どのようなことに留意しなければならないか。

経営安定関連保証を除く普通保証および無担保保証との合計で保証限度額が5億円であること、担保を徴求する場合における被担保債権は求償権であること、社債を譲渡する場合は譲渡先が限定されていること、事実上期間延長の条件変更ができないこと等に留意しなければならない。

限度額・求償権・譲渡先限定・期間延長ができないことに留意

(1)保証限度額
本制度の保証限度額は4億5,000万円である。ただし、経営安定関連保証を除く普通保証および無担保保証との合計で5億円以内(一括支払契約保証を利用しているときは10億円以内)としなければならない(中小企業信用保険法3条の10第2項、中小企業信用保険法施行令1条の5)。したがって、本制度以外の保証利用残高について確認する必要がある。

(2)有担保保証と被担保債権
本制度では保証金額2億円を超える場合は、原則として担保を徴求することとしている。逆に保証金額2億円以下の場合は、担保を徴求してはならない。有担保により取扱う場合は、信用保証協会が担保徴求することとしている。したがって、その被担保債権は保証委託取引による一切の債権、つまり求償権および保証料債権であって、社債権ではない。本制度は無担保社債のみを対象としているが、求償担保を徴求した場合であっても当該担保は社債の担保ではないことから、無担保社債であることには変わりはない。

(3)譲渡先の限定
社債権は自由に譲渡することができるのが原則であるが、本制度に基づいて発行された社債は譲渡先が制限されている。具体的には、銀行等の金融機関、信託会社、SPC、事業再生ファンド、サービサーに限定されている(中小企業信用保険法3条の10第5項、中小企業信用保険法施行令1条の3)。この譲渡制限は、本制度以外の信用保証協会保証付債権についても同様である。この趣旨は、公的制度として政策資源が投じられていることから、債権の管理が十分に行えない不適切な者を排除することを目的とするものである。

(4)条件変更の可否
社債について償還期限延長等の弁済条件の変更を行うにあたっては、社債権者集会の決議が必要となる。それゆえ、通常の貸付とは異なり、弁済条件の変更を行うことは容易でない。理屈上できないことはないが、多くの金融機関では事実上社債についての条件変更を回避しているのが実態である。

これに代わる対応としては、
①証書貸付等により借り換える
②代位弁済をしたうえで弁済条件を付するといったも彷が考えられる。

①による場合は、一般的に社債の決済資金は償還期日の数日前には用意しておかなければならないごとを踏まえ、前述の保証限度額を超過することのないように留意しなければならない。

経営安定関連保証制度の資格要件とは

取引先企業から、経営安定関連保証(セーフティネット保証)を利用したいとの相談があったが、どのような制度か。また、資格要件はあるのか。

経営安定関連保証(セーフティネット保証)は、中小企業信用保険法2条4項1号~8号の規定に基づき、経済産業大臣が指定する事由のいずれかに該当していることを市区町村長が認定した場合に適用される保証である。認定を受けた中小企業者は中小企業信用保険法上の「特定中小企業者」となり、一般保証の通常限度額のほかに限度額が別枠化される。

(1)1号<大型倒産(再生手続開始申立等)の発生により影響を受けている中小企業者>破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始などの事由が生じ、経済産業大臣の指定を受けた事業者(再生手続開始申立等事業者)に対する売掛金等の債権回収が困難なため経営の安定に支障をきたしている中小企業者。

(2)2号<取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により影響を受けている中小企業者>経済産業大臣が指定した事業活動の制限を実施している事業者と直接取引を行っている、あるいは直接取引は行っていないものの当該事業者の事業活動に相当程度依存している、または当該事業者の事務所が所在する特定の地域(経済産業大臣が指定)内に事務所を有している者で、売上高等の減少により経営の安定に支障をきたしている中小企業者。

(3)3号<特定地域の災害等により影響を受けている特定業種を営む中小企業者>豪雨、豪雪、地震等の災害その他の突発的に生じた事由により特定地域内の中小企業者の事業活動の予測を超える程度の影響を受けている場合であって、その影響が当該地域内の特定の業種に属する中小企業者の相当部分に及んでいるときに、経済産業大臣の指定を受けた地域において同じく指定を受けた特定業種に属する事業を継続して行っている中小企業者。

(4)4号<特定地域の災害等により影響を受けている中小企業者>第3号の特定業種に限らず、その影響が当該地域内の中小企業者の相当部分にまで及んでいるときに、経済産業大臣の指定を受けた地域において継続して事業を行っている中小企業者。

(5)5号<全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業者>その業種に属する事業について主要な原材料等の供給の著しい減少、需要の著しい減少等の理由で当該事業を行う中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障が生じていると認められる業種として経済産業大臣が指定するものに属する事業を行う中小企業者。

適債基準はどのような要件か

発行体の資格要件として設けられている適債基準とは、どのような要件か。

投資家保護と社債に対する信用維持等の観点から設けられた財務要件であり、純資産額、自己資本比率、純資産倍率、使用総資本事業利益率、インタレスト・カバレッジ・レーシオについて一定の基準を満たすことを要件とするものである。

3つの要件のいずれかの財務要件を満たす必要がある
本制度を申込むにあたっては、以下に掲げる(1)から(3)のいずれかの財務要件を満たしていなければならない。この要件のことを適債基準という。本制度創設当時は(3)の要件を満たしていなければ本制度を利用することができなかったが、平成14年4月、平成18年1月、平成21年5月にそれぞれ緩和され、(1)(2)の要件が設けられる等の改正が行われている。

(1)次の各要件のうち、①の要件を満たす者で②もしくは③のいずれかの要件を満たし、かつ、④もしくは⑤のいずれかの要件を満たすこと。
①純資産額 5,000万円以上3億円未満
②自己資本比率 20%以上
③純資産倍率 2.0倍以上
④使用総資本事業利益率 10%以上
⑤インタレスト・カバレッジ・レーシオ 2.0倍以上

(2)次の各要件のうち、①の要件を満たす者で②もしくは③のいずれかの要件を満たし、かつ、④もしくは⑤のいずれかの要件を満たすこと。
①純資産額 3億円以上5億円未満
②自己資本比率 20%以上
③純資産倍率 1.5倍以上
④使用総資本事業利益率 10%以上
⑤インタレスト・カバレッジ・レーシオ 1.5倍以上

(3)次の各要件のうち、①の要件を満たす者で②もしくは③のいずれかの要件を満たし、かつ、④もしくは⑤のいずれかの要件を満たすこと。
①純資産額 5億円以上
②自己資本比率 15%以上
③純資産倍率 1.5倍以上
④使用総資本事業利益率 5%以上
⑤インタレスト・カバレッジ・レーシオ 1.0倍以上

特定社債保証制度とは

特定社債保証制度とはどのような制度か。

特定社債保証制度は、中小企業者が資本市場から直接事業資金を調達するために発行する社債(私募債)について、信用保証協会が金融機関とともに保証を行い、中小企業者に対する事業資金の調達の円滑化を図ることを目的とする制度である。

社債(私募債)を信用保証協会が金融機関とともに保証

(1)制度創設の背景
中小企業金融においては、従来の間接金融が抱える諸問題の解決策として、資金調達の多様化へ対応するための新たな金融手法が求められてきた。しかし、中小企業が直接資本市場から資金調達をすることは信用力が乏しいなどさまざまな問題があった。そこで、信用保証協会の保証制度を活用して、中小企業者が発行する私募債に対して信用補完を行い直接金融の道を開くこととされ、平成12年4月、特定社債保証制度が創設された。

(2)本制度の特色
①適債基準
特定社債保証制度では、発行体について財務要件等の一定の資格要件が設けられている。この要件のことを「適債基準土といい、投資家保護と社債に対する信用維持の観点から設けられているものである。本制度以外の社債についても設けられているのが一般的であるが、本制度は中小企業者向けであることから、一般的な適債基準よりも大幅に緩和されている。

②部分保証
次に、本制度では社債元本および利息の80%を信用保証協会が保証する部分保証となっている。本制度も責任共有制度の対象となっているのであるが、本制度は負担金方式を採用する金融機関との関係でも、一律部分保証とされている。

③共同保証方式
さらに本制度の大きな特色として金融機関が100%の保証責任を負い、信用保証協会と共同保証方式をとることが挙げられる。これにより社債権者は、信用保証協会および金融機関等により100%保全された私募債を保有することになり、リスクを回避することができる。また、デフォルト時には、信用保証協会が80%の負担部分について先行もしくは同時に保証債務を履行することとしていることから、金融機関においては実質的には20%の負担となっている。

(3)対象となる社債
本制度で対象としている社債は、中小企業者が当該事業の用に供する資金調達のために別に定める社債要項に基づき発行される社債(金融商品取引法2条3項に規定する有価証券の私募によるものに限り、社債、株式等の振替に関する法律66条1号に規定する短期社債を除く)であって中小企業信用保険法施行令1条の4に定める金融機関が引き受けるものに限定している。

(4)保証限度額
保証限度額は4億5,000万円である。ただし、経営安定関連保証を除く普通保証、無担保保証と合計で5億円か限度となっている。なお、本制度は80%の部分保証であることから、発行限度額は5億6,000万円となっている。また、1回の最低発行額は3,000万円である。

(5)保証期間
保証期間は2年以上7年以内となっている。

(6)担保・保証人
原則として、保証金額2億円を超える場合は有担保となっている。担保徴求する場合は、信用保証協会が担保徴求しなければならない。被担保債権は社債権ではなく、求償権となる。保証人は共同保証人たる金融機関のみである。したがって、代表者の個人保証も徴求してはならない。